飼 育 基 礎 知 識 
ペットも飼い主もしあわせになるために次のことを守りましょう

犬を飼い始めたら
○犬を飼うには登録と狂犬病予防注射が義務づけられています。
登録・・・生後91日以上の犬は生涯に1回行います。
狂犬病予防注射・・・生後91日以上の犬は毎年行います。
※犬の登録は平成7年度より生涯に1回の登録となりました。
○飼い犬が死亡したり、飼い主が変わったり、住所が変わった場合は届け出が必要です。
※これらの届け出を行わないと、法律により罰せられます。



飼い犬・飼い猫の不妊・去勢手術について
手術の時期・・・生後7ヶ月から1年未満が最適です。
※但し、体の成長の早い、遅いには、それぞれ個体差があります。基本的には、体がだいたい出来上がる生後7ヵ月以降から9ヵ月頃の手術が理想ですが、性的な発育の早い子などは7ヵ月目では遅い場合もありますので、状況や個体に応じて、動物病院で手術の時期を相談して下さい。
(生後半年までの早い時期での不妊手術も可能であり、体が成長するまでの早い時期の手術を勧めている動物病院や団体もありますが、長期的にその子自身の体の事を考えると、安易に早い時期に手術を行なうのはあまり好ましくないと思います。又、妊娠中や、発情中でも手術は受けられますが、体への負担が大きいので手術にはリスクも伴います。いずれにしろ動物病院でよく相談するようにして下さい。)



フィラリアの予防をしよう
フィラリア症とは・・・フィラリアが蚊を媒体として犬の心臓や肺動脈に寄生しておこる病気。
感染経路・・・蚊がフィラリア感染犬の血を吸い、ミクロフィラリアが蚊の体内で幼虫となり、その蚊が再び犬を刺して犬の体内に入り、成虫となって血管を通して心臓に寄生する。
予防するには・・・内服薬を月1回(毎年5月から12月頃まで)飲ますことで防げます。
※地域によって差があります。

フィラリアはかつて犬にとっての脅威でした。予防薬が出来るまではフィラリアによって命を落とす犬は大変多いものでした。しかし今は1ヵ月に1回の予防薬の内服でフィラリア症を防ぐことが出来ます。
犬の飼い主さんは絶対に忘れずに愛犬のためフィラリア対策を行なって欲しいと思います。
1ヵ月分予防薬を飲ますのを忘れたため、フィラリアに感染してしまった、という例もあります。
1度感染してしまうと、命の危険に晒されるのは勿論の事、駆虫には体にかなりの負担がかかります。
フィラリアを殺してしまうことで死骸が心臓や肺の血管につまり危険な状態になることもあるため、状態を見て獣医さんが判断しますが、虫を落として(殺して)しまうことが出来ない場合は、予防を行ないながら自然に虫が死んで体の中で吸収されていくのを待たなければなりません。完治するまで時間もかかり、その間、犬も体力的に苦しみますし、完治するまでに命を落としてしまう場合もあります。
きちんと予防しなかったがために、落とさなくても良い命を落とすことになってしまわないよう、また感染によって苦痛を負わせないよう、飼い主さんは獣医さんの指導の元、フィラリア予防を行なうようにして下さい。
フィラリア薬は体重によって値段が変わりますが、大きい犬になるほど値段は上がります。
動物病院によって使用している薬も違い、値段も差があるでしょうが、ゴールデンレトリバークラスで1ヵ月2000円から3000円位です。
高いから、と言って予防をさせない人もいますが、必要最低限これだけは行なって欲しいフィラリア予防の、この費用さえ出せない人は最初から犬を飼うべきではありません。
また室内飼いだから、という人も居ますが、散歩の時は外にも出ますし、家の中にも蚊は入ってきます。絶対に蚊に刺されない生活を送る事は不可能です。蚊取線香だけでフィラリアの予防は出来ませんし、蚊取線香や電子蚊取器は動物にとっては害です。散歩の時も四六時中犬に蚊取り線香をぶらさげさせる訳にも行きませんので、室内飼いであろうとなかろうとフィラリア予防は必要であることを理解して頂きたいと思います。
しかしそのフィラリア薬も種類によっては副作用の強い危険な薬もあります。
予防のためフィラリア予防薬を愛犬に内服させるのは当然ながら、飼い主として安全な薬を選ぶ必要もあります。
現在一般的に広く流通し使用されている薬が比較的安全なようですが、飼い主さんも獣医さんに薬の説明を求め、相談の上安全性の高い薬を選んでもらうようにして下さい。当会の「飼い主のための獣医療」のコンテンツでも今後取り上げていく予定ですので御参考になさって頂きたいと思います。



ノミ対策をしよう
ノミは一度大発生をすると駆除するのが大変です。したがって、ノミ対策は春ごろから始めるのがいいでしょう。
ノミによる被害・・・ノミが血を吸うときに唾液を動物の体内に注入するためその反応としてかゆみが生じます。また、アレルギーとなり、皮膚炎を起こすこともあります。※人間にもうつることがあります。
身体をなめることで、ノミを食べてしまい、瓜実条虫の感染にもなります。※便に白い米粒の様なものが見られます。

ノミ駆除薬のいろいろ錠剤、液体、スプレーなどいろんな種類があります。また首輪タイプのものやシャンプーもあります。
どれを使えばいいかは、ノミの発生状況や飼育環境によって違ってくるので、動物病院で選んでもらうといいでしょう。
しかし駆除の薬やシャンプーは犬や猫の体にもあまり良い事はありません。中には重篤な副作用が起こる例もあります。また長期にわたって使用することに不安も感じます。
ノミ・ダニなどが嫌がる匂いで寄って来させなくするハーブなどがありますが、薬と違い完璧ではない場合もあるかもしれません。しかし、害もないので安心して使うことが出来ます。また、普段から無添加のオーガニックフードを食べていれば、害虫が寄ってきにくいと言いますので、状況に応じて体に負担の無い上手な使い分けをしたいものです。
(当会の「飼い主のための獣医療」のコンテンツでも取り上げていく予定ですので御参考になさって頂きたいと思います。)



高齢期をむかえて
小さかった子犬や子猫もやがて大きくなり、飼い主より老化が進みます。医療の発達や、食事の改善などでペットも高齢化が進んでいます。それにともなうのが、病気や世話の問題です。だからと いって、捨てたり、安易に安楽死をしたりするのは決して許されることではありません。ペットを飼うときは、その時のことも考慮した上で飼いましょう。一度飼った以上は最期まで看取るのが飼い主の責任です。


犬猫カレンダー
犬猫の年齢を人間に換算してみると...

 【犬猫】・・【人間】・・【行動や特徴】
生後1ヶ月・・・1歳・・・よちよち歩き、そろそろ離乳
2ヶ月・・・3〜4歳・・・しつけもこの頃から始める
3ヶ月・・・5〜6歳・・・社会化に最も大切な時期
4ヶ月・・・7〜8歳・・・この時期までの経験が一生を決める
6ヶ月・・・9〜10歳・・・乳歯から永久歯に生え変わる頃
7ヶ月・・・11歳・・・1回目の発情期を迎える
8ヶ月・・・12歳・・・すこぶる成長がみられる頃
9ヶ月・・・13歳
1年・・・16歳・・・成犬、成猫と呼ばれる頃
2年・・・23歳
3年・・・28歳・・・落ち着きがでてくる
4年・・・32歳
5年・・・36歳
6年・・・40歳
7年・・・44歳・・・高齢期と呼ばれる頃
8年・・・48歳・・・身体の衰えが始まる
9年・・・52歳
10年・・・56歳
11年・・・60歳
12年・・・64歳
13年・・・68歳・・・白内障などが出てくる頃
14年・・・72歳
15年・・・76歳
16年・・・80歳
17年・・・84歳
18年・・・88歳
19年・・・92歳
20年・・・96歳
※犬と猫、またはその種類によって若干違いはあります。



飼育のウソ、ホント(正しい飼い方Q&A)
Q1、犬はたびたび洗うもの?
人ほど体温調節機能がありませんので、相当の体力の消耗にもなり、たびたび洗うのは体にもあまり良くないようです。また皮膚を培菌から守る天然の保護膜である体の油分も取れてしまい、湿疹が出やすくなってしまうこともあります。また市販のペット用シャンプーの中には、殺虫成分や合成洗剤のようなものが含まれていることが多く、皮膚や体にも良くありません。しょっちゅうシャンプーをしてアトピーになってしまう事もあります。シャンプーもフードと同じように天然で無添加のものを選びましょう。
お手入れは、出来るだけこまめにブラッシングする事です。長毛種の場合は時々ブラシにホホバ油をつけて、油分を補ってあげても良いでしょう。うっかりすると毛玉が出来てしまうので、早い内にほぐすか、カットしてあげましょう。


Q2、犬や猫は寒さに強いって本当?

いいえ、人ほど体温調節機能がありませんので一般的に寒さ、暑さには弱いです。夏は日陰で掘った土で体を冷やす必要があります。(だから、夏の暑い日、犬はよく穴を掘るのですね。)冬(特に夜)は場所や犬種にもよりますが、15キロ未満の動物には湯タンポやペットヒーターを与えてあげた方がいいでしょう。外で飼われている犬も出来るだけ夜は家の中に入れてあげて下さい。


Q3、室内飼いしたいのですが、夜は外に繋ぐ方がいいのでしょうか?

いいえ、逆です。トイレが心配なら、寝る前にトイレの習慣をつけます。室内にトイレやペットシーツの場所を設けるという方法もあります。普段屋外で飼われている犬でも、夜は出来るだけ玄関先など、室内に入れてあげて下さい。特に冬場は子供の犬は必ず家の中に入れましょう。逆に暖かで穏やかな日中はビタミンD不足にならないように日光浴させてあげたいものです。
また犬は集団の一員として生活を営む動物です。ですから番犬として飼われるより、家族の一員として家族と同じスペースで飼育する方が望ましいです。
よくある1匹でポツンと庭で繋がれて飼われている状態は、犬にとって家族という群れから排除された状態に感じられ、そういう飼い方は精神的な虐待になると言われます。
動物を隷属するものとして捉えるのではなく、動物と人間が家族として、また、対等なパートナーとして共に生きていける世を目指し、番犬のような飼い方を少しずつ日本から減らしていきたいものです。
それがどうしても無理で外で飼う場合でも冬や夜は家の中に入れるようにして下さい。
家が汚れるからとか、狭いからと言われる方もいますが、人間の子供だって汚します。犬は置物ではありません。感情ある生き物です。家族として共に生きていく気持ちも持てず、こういった世話も出来ないのであれば最初から飼わないで下さい。

Q4、不妊手術は生後2ヵ月が最適って本当?
いいえ、基本的には生後2〜3ヵ月でも手術は出来ますが、動物の体の事を考えると生後7〜9ヵ月位が最適です。
猫の場合、外国では生後2ヵ月〜5ヵ月で不妊手術を行なう事もあり、近年、日本でも早い時期の手術を勧める愛護団体や獣医も出て来ています。確かに、生後2ヵ月でも手術を行なう事は可能でしょうが、人間で言うとまだまだ5才〜8才の小学生位。体の負担や将来への影響を考えると、いくら大丈夫と言われていても、不妊ばかりを優先に考えての早い時期の手術には全くの不安がないとも思えません。ですから、私達は、安易な早い時期の不妊手術には反対です。只、日本の猫でも早熟な子は居ます。5ヵ月位で生殖能力が出来上がる子もいますので、その個体に合わせた手術の最適時期を獣医さんと相談してみると良いでしょう。

Q5、不妊手術は1回経験した後の方がいいって本当?
いいえ、体が大人になって、精神が大人になりきっていない生後7〜9ヵ月の間が最適な時期です。手術の時期が遅れて1度でも性的な気持ちを経験してしまうと、その後手術をしても、性的欲望が残ってしまう場合があります。そうなるとそれが相当のストレスになってしまう事もあるので、適切な手術時期を獣医さんとも相談して下さい。

Q6、子犬や子猫が産まれたらいつ頃親元から離せばいい?
本来であれば、生後4ヵ月位までは、親は子育てをするものです。その間に子供は母親のお乳から免疫をもらいます。危険な事やルールなど教わらなければならない事もたくさんあります。そうして一人だちしていくものですが、子犬や子猫を里親に出そうとすれば4ヵ月では大きくなりすぎてもらいてが付きにくいという事があります。育てやすさの面でも、生後4ヵ月すぎの方が体力も付いているし理解力も出てくるので楽なのですが、なかなかそうもいかない場合が多いです。状況が許すならば、せめて3ヵ月までは親元に置いて下さい。それが出来ないのなら始めから産ませるべきではありません。仕方ない状況は別にして、生後1ヵ月以内で親から離すのは、限りなく虐待に近いという事も理解して下さい。

Q7、人間の食べ物よりペットフードの方が栄養が偏らないって本当?
不自然な加工食品であるペットフードは、体に有害な添加物なども含まれている場合が多く、これらが腫瘍や膀胱炎、腎臓病の原因になっています。確かに、栄養バランスは整っているかもしれませんが、それは、科学的に合成された栄養であり体に吸収されにくいばかりか、長期にわたっての摂取は副作用がでる場合だってあります。あげるなら無添加で天然の材料を用いて作られているオーガニックフードを選んで下さい。
(★詳しくは「ペットフードの害とオーガニックフードの情報」の項目を御覧下さい。)

Q8、ペットフード以外の場合、何を食べさせたらいいの?
人間とは中毒を起こすものが違うので注意が必要ですが、スーパーマーケットで売っていて、人間が食べているものであれば大抵まかなえます。人よりライフサイクルが短いので、成長促進剤を使った輸入肉や防腐剤入りの加工品は与えないで下さい。まれに米アレルギーの動物もいますが、大抵は白米飯を主食にするのがベストです。
(★詳しくは「ペットフードの害とオーガニックフードの情報」の項目を御覧下さい。)

Q9、猫にもワクチンがあるって本当?
何十年も前からあります。病気を予防する上でワクチンは有効な手段でしょう。
しかし、ワクチンの中には重篤な副作用の起こりやすいワクチンもありますので、飼い主さんも獣医さんと充分お話し合いをされて、自分の猫に安全かつ最適なワクチンを選び、上手にワクチンを利用していきたいものです。またワクチンでは防ぎきれない病気もあります。猫エイズや伝染性腹膜炎などです。もとは輸入動物から持ち込まれたと言われていますが、現在全国的に蔓延してきており、都市部ではキャリアの猫も多く見受けられ、猫にとっての新たな脅威となっています。また猫白血病も、猫エイズや伝染性腹膜炎と並び増えてきた病気です。稀にこの白血病予防ワクチンによって発病したという例もあり、接種にあたっては注意が必要です。
(★詳しくは「飼い主のための獣医療」のワクチンの項目を御覧下さい。)

Q10、蚊にかまれなければ、犬にとって致命的なフィラリア症にはなりませんか?
どうやって蚊にかまれなくするのでしょう?網戸や蚊取り線香が必ずしも完璧だとは言えません。今はフィラリア予防の薬もちゃんとあり、シーズン中、月1度飲ませるだけで、確実に過去1ヵ月に体内に侵入したフィラリアを駆除することが出来るので、必ず、投与してあげて下さい。これ以上、体内のフィラリアを増やさないため、直ちに対処することが大事です。

Q11、蚊取り線香は犬の体に有害ですか?
有害です。体内の酵素が人間とは違うので注意が必要です。犬も蚊に刺されれば当然かゆいです。ストレスや皮膚炎の原因になることもありますから、近くに置いて蚊が寄ってこないようにするのは有意義ですが湿っけた日は消えてしまいますし、散歩の時蚊取り線香をくっつけたまま歩かせるなどということができるでしょうか?あまり役に立たない上に不確実で有害で費用や手間も案外かかる蚊取り線香に頼りすぎるのは感心できません。蚊よけなら、動物に無害で蚊の嫌う物質(ハーブなど)を使う方がいいでしょう。

Q12、初めて飼うのですが、何か月位の子犬が飼いやすいですか?
御家族に飼育経験があれば子犬でも構いませんが、飼育経験の無い方は、体得すべき動物への接し方自体が分かっていないので、最初の一匹目はしつけや訓練をした成犬を動物愛護団体等の指導の元に飼われることをお勧めします。

(以上「シロの家」ネットワーク制作資料を一部参照)








 飼 い 犬 ・ 飼 い 猫 が 居 な く な っ た 時 

あなたの飼い犬・飼い猫が迷子になったら、即日、管轄の保健所と動物管理センター、警察に問い合わせて下さい。その上で迷子の登録をお願いして下さい。
犬の中には、相当の距離を移動する子もいますし、いたずらで連れ去り遠くに離すという心無い人間も居ます。ですから、自分の管轄地域だけでなく、必ず近隣の動物管理センター、区役所や保健所、警察にも問い合わせをするようにして下さい。
すぐ、問い合わせをしなければ、動物管理センターでは2日〜5日目には殺処分されてしまいますので、一刻も早い対処が必要です。また、不幸にして事故にあった可能性もあります。市役所の環境課、清掃局などへの問い合わせの他、迷子のポスターを作り、付近に貼ったり近くの動物病院にもお願いして貼らせてもらいましょう。
犬は飼い始めたら必ず登録を行ない、日頃から鑑札を首輪に付けておくと、見つかった時すぐ連絡してもらえます。いずれにしろ、必ず、ペットには電話番号を書いた迷子札を忘れずに着けて下さい。(出来れば1つでなく何個か付けてあげて欲しいものです。放浪中に取れたり外れたりしてしまっては、連絡先がわからなくなってしまいます。)これで、命が救われる確率はずっと高くなるのですから、飼い主さんは手間を惜しまず、万が一の時のためにいつも万全を期してあげて下さいね。








 迷い犬、子犬、子猫を保護したら 

迷い犬猫を見つけたら
迷い犬や迷い猫と見られる犬猫を保護したら、迷子犬・猫保護の届けを出します。管轄の地区の動物管理センター、区役所、警察などに、飼い主からの届けが出ていないか確認の上、保護している旨を伝えます。また、犬の中には、相当の距離を移動する子もいますし、いたずらで連れ去り遠くに離すという心無い人間も居ます。(これは犯罪行為にあたります)
ですから、保護した管轄地域だけでなく、必ず近隣の区役所や動物管理センター、警察にも問い合わせをするようにして下さい。
迷子の子を保護して動物管理センターに持ち込むと、収容後5日位で殺処分されてしまい、飼い主が探し方が分からず居る場合、問い合わせがあった時には、すでに処分されてしまっていた、というケースが多々あるので、注意して下さい。
出来るだけ、管理センターや保健所、警察への連れ込みや預けるのは避けて欲しいです。警察では犬猫を収容する場所や世話をする人手不足から、即日もしくは1〜2週間で管理センターに引き取ってもらう場合が多いです。(各警察署によって差があります)
一旦管理センターに収容されると、所有権の問題があり一般的に飼い主以外は引き取る事が出来ません。
助けたいと思ってももう助け出すことは出来なくなってしまいます。出来るだけ御自分の自宅や知り合いに頼んで保護するようにして下さい。
急な事で保護先が無い場合、預かり先を見つけるまでの間、警察に事情を話し警察で預かってもらうという方法もあります。その場合はまず警察署に預かってもらうことが可能な日数を聞きます。その日数が過ぎたらこちらで引き取って飼い主さんが出て来るまで預かる旨を伝えます。それを了承してもらえるようであればその間だけ警察に預かってもらいます。
(場合にもよりますし、警察署によって対応も違ってきますので一概には言えませんが、一般的には動物は保護された方の拾得物となり預かることが可能です。)
警察に預かってもらっている間に保護場所を確保するようにし、期限が来たら警察に引き取りに行きます。
預かっている間、その犬・猫の所有権は飼い主さんにあります。あなたはあくまで警察から委託を受けて「拾得物」を預かっているという扱いになります。半年が過ぎても飼い主が現われない場合、所有権はあなたのものになります。自分の所で飼育していくことが無理な場合は里親探しをすることになりますが、基本的には半年が過ぎ、所有権があなたに移ってから里親探しを行なうようにしてください。事情がありすぐにでも里親探しをする場合は、里親になる人に事情をお話しして、保護された日から半年の間に元の飼い主さんが現われた場合、飼い主さんにお返ししなければならない事を了承してもらわなければなりません。
保護されてから半年の間は里親さんも上記と同じように、警察から委託を受けて「拾得物」を預かっているという扱いになりますので、あなたに代わり里親さんが「拾得物預かり」をするということで、里親さんにも警察に出向いてもらい「拾得物預かり」の書面にサインして頂くようにして下さい。
(あなた以外の人に一時預かりをお願いする場合も、その方に警察と書面を交してもらうようにすると良いでしょう)

<注意点>
迷い犬・猫と思われる子を保護しても、その犬猫が捨てられたものなのか迷子なだけなのか、実際にはなかなか判断が難しい場合があります。もし迷っている犬・猫だった場合、保護によって鎖に繋ぐなどすることにより、帰趨本能があるのにも関わらず拘束してしまうことになる場合があり、そうなると飼い主の所有権を侵害する行為となり、民法上の不法行為(民法709条/不注意で他人に損害を与える行為。与えた損害に対して経済的な賠償責任が生じる他、場合によっては精神的損害に対しても慰謝料を払わなければならないことがあります。)にあたってしまいます。
また、以下のように、賠償責任だけでなく犯罪にあたる場合もありますので保護に関しては充分な注意が必要です。
『飼い主の権利を侵害する行為は民法上、損害賠償の責任を負うだけでなくその行為が犯罪にもなりうります。迷ってきた他人のペットを自分のものにした場合は、遺失物横領罪という犯罪が成立し、1年以下の懲役または10万円以下の罰金、科料という刑罰が科せられます(刑法254条1項)。
迷ってきたけれども、飼い主の元に帰る能力があるペットを無理やり鎖で繋いで自分のものとしたような場合は、遺失物横領罪より重い窃盗罪(刑法235条)が成立し、より重い10年以下の懲役が科せられます。(法学書院発行、木ノ元直樹氏編著「ペットの法律知識とQ&A」より)』以上を理解した上で、必ず、犬・猫を保護した場合は、捨てられたのか迷っているのかに関わらず、警察と保健所、動物管理センターへの届けを忘れずに行なうようにして下さい。
迷い犬と思われる犬の場合は、散歩をかねて犬の行きたい方向に行かせてみて飼い主の元へ帰るかどうかを見ても良いと思います。また関係各所に届けるだけでなく、ポスターを貼ったり、聞き込みをしたり、近隣の動物病院をあたったりしてみて下さい。
しかし、問題なのは、飼い主が分かっても、その飼い主に何か問題があった場合や、犬・猫が何らかの事情で飼い主の元を逃げ出してきた場合です。飼い主が所有権を放棄しない限り、保護した犬・猫は飼い主に返さなければなりませんが、飼い主の元へ戻すことにより犬・猫が不幸になってしまう恐れのある場合は慎重に対処しなければなりません。
飼い主側に明らかに虐待行為などの非がある場合は、動物愛護法に基づき飼い主を罰する事も出来、飼っている犬・猫を飼育放棄させることも可能ですが、証拠が無い場合や、罰則の対象になっていない事例の場合(飼育能力がない、責任感が無い、等)は、残念ながら現行では強制的に飼い主に所有権を放棄させることは出来ませんので返還にあたっては飼い主と充分に話し合い根気良く指導を行なっていくしかありません。このような場合はなかなか個人では難しいかもしれませんので、問題がある場合は愛護団体などに相談するようにして下さい。


保護にあたって
あなたがもし、まだ目も開いていない子猫を拾ったらどうしますか?とりあえず連れ帰り、猫用粉ミルクと哺乳瓶を買ってきて世話をし里親探しをしますか?
ちゃんと最後の一匹が確かな里親さんに貰われて行くまで責任を持てますか?
よく、かわいそうだから、放っておけないから、と保護したのはいいけれど家の人に反対されて結局、泣く泣く保健所に持って行く人がいます。助けるつもりが結果として殺してしまうことになるなんてこんな皮肉なことはありませんよね。
でも当会にもしょっちゅう、そんな相談の電話が入ってきます。
「私は面倒を見れないから、そちらで引き取ってくれないか」
「もし引き取ってくれないなら保健所に連れていくしかない」
たいがいの方がそう言います。でもちょっと待って下さい。
では殺すために拾ったのですか?
誰かがやってくれるだろうと甘い考えはありませんか?
私達は出来ることなら全ての命を救いたい。
けれど私達にも限界があります。
毎日のように来る保護依頼全てに応えることは残念ながら不可能です。かわいそうだからと安易に拾い、他者にその責任を押し付けるか、それが出来なければ、簡単に命を奪う選択をし、自らの責任を放棄する・・・そんな人間のいかに多いことか。
責任が持てないのなら拾わないで下さい。その子達の生きる権利を奪わないで下さい。
もしあなたが拾わなければ他の責任を持てる人が後から保護してくれるかもしれないのに、安易な考えで拾って結果、その命を奪うことになってしまうならそんな無責任なことはしないで下さい。
では実際にはどうしたら良いのでしょう?ただこれだけは言えます。殺すことになってしまう可能性があるなら最初から何の考えもなしに安易に拾わない。
でも助けなければ死んでしまうかもしれない、そんな時はこのまま放って行くのに戸惑いを感じるかもしれません。あなたが本気でその子達を気にかけるくれる人なら努力すれば必ずあなたにも命を繋ぐことはできるはずです。まず、獣医さんに連れて行って診断してもらった上で里親さんが見つかるまでの間、保護しておく場所を確保します。本来自分で引き取って保護出来ないのならば、拾うべきではありません。善意の第3者に押し付けるような事にならないよう責任を持って下さい。
そして知り合いの獣医さんやペットショップに写真付きポスターを貼らせてもらいましょう。また情報誌の貰って下さいのコーナーに申し込みます。しかし、犬猫を里親になるふりをして騙し取る「猫獲り」からの申し出もあるかもしれませんので、里親探しには注意も必要です。(★詳しくは「里親情報」のページの防衛法を参考にして下さい)こんな時は、近くの愛護団体に協力のお願いをされても良いと思います。
あなたが本当に動物のために責任と誠意を持ち合わせている方ならば、どの愛護団体もきっと心良く協力してくれるはずです。
但し、里親を見つけるのは難しいからと、安易にいとも簡単に安楽死を勧めるような団体はやめたほうが無難だと思います。誰にも他者の命を奪う権利は無いことを充分理解した上で共に大切な生命を繋ぐために力を合わせていきましょう。
*****「かわいそう」で済ましてしまうのは簡単です。
「誰かがしてくれる」?
その「誰か」は当事者のあなた以外にないのです。
命を継ぐのも、殺すのもあなた次第です。
あなたは本気で貰い手を探しましたか?*****



子犬・子猫を保護したら
まだ目の開いていない子犬・子猫やまだ自分から餌を食べることの出来ない子犬・子猫を保護した場合、専用粉ミルクと哺乳瓶での授乳が必要になります。
犬には犬用の粉ミルク、猫には猫用の粉ミルクを与えて下さい。犬と猫では必要な栄養素も変わってきます。人間用の粉ミルクや牛乳は与えないで下さい。特に子供のうちは牛乳で下痢を起こしてしまうことが多いです。子犬・子猫にとっては、下痢は致命傷になる場合があるので、絶対に与えないで下さい。
もう自分でお皿から飲めるようなら、哺乳瓶による授乳は必要ありませんが、まだ自分で飲めないようなら、哺乳瓶で乳を与えてあげなければなりません。

<準備>
・猫は粉ミルクのメーカーにより好き嫌いがあるように思います。嫌いなメーカーのものだとなかなか飲んでくれないこともあります。(経験上1番飲みつきが良いのは、「エスビラック」の粉ミルクです。液状になっているものもありますが、粉タイプに比べ若干割高で開缶後日持ちがしないのが難点です。)
・哺乳瓶も子犬には子犬用の乳首のついたものを、子猫には子猫用のものを用意します。
乳首もいろいろ大きさがありますので、子犬・子猫の大きさに合わせて選んで下さい。
・哺乳瓶の乳首に開ける穴の大きさによってミルクの出に差が出ますが、小さすぎると吸い付いてもミルクが出ないため嫌がって口を離してしまいますし、大きすぎると大量に口に流れ込むため、鼻や気管にミルクが入ってしまいます。この加減が非常に難しく、最初は大きすぎたり小さすぎたりして失敗してしまうことが多いので、乳首は予備をいくつか用意しておいた方が良いと思います。
成長に伴い穴も少しずつ大きくしていくと良いでしょう。

<授乳の前に>

・子犬、子猫は、授乳前におしっことうんちをさせなければミルクの飲みが悪くなります。
授乳の前にまず排便排尿を行ないます。子供のうちは自分で上手に排便排尿が出来ませんので、本来はおかあさんが肛門や陰部をなめて排便排尿を促します。
(おかあさんはこの時子供のおしっこや便をなめます。奇麗にしてあげるのは勿論、乳児の便に母体にとって必要な何らかの養分が含まれているからだと思われます。)おかあさんがしてあげるように人間が排便排尿を促してやらなければなりません。
ティッシュを湿らせ、肛門や陰部を優しく刺激してやります。おかあさんがなめるのをイメージして行ないます。出来れば冷たいよりも暖かい方が良いので、近くに暖かめのお湯を張った容器を用意しておくと良いでしょう。
また、授乳前には排便排尿をせず授乳後にする時もあります。しばらくやって出ない場合は授乳後にもう1度やってみて下さい。
大きくなってくると自分でもするようになります。こんな時はいくらやってもしてくれませんので、排便排尿を自分でしているかどうかよく観察するようにして下さい。
・粉ミルクを生後の日数によって適合するお湯で溶かしてミルクを作りますが、人肌より少し暖かめにして下さい。作っている間に若干冷えてしまいますので、与える時の温度より少し暖かめに作っておくと良いでしょう。実際に与える時は必ず自分の手の甲に数滴垂らし温度の確認をします。
熱すぎて口の中や食道を火傷させてしまわないように注意して下さい。


<授乳>

・排便排尿が済んだら授乳です。最初はなかなかお互い上手にいきません。子犬・子猫は哺乳瓶から飲むのに慣れていませんし、与える方も上手に与える加減がわからないからです。乳首をくわえさせようとしても嫌がって口に入れてくれませんので、慣れるまでは指で口を開き乳首を口に入れます。口に入ってきたものがミルクを飲むための乳首であることを理解させるために、口の中にミルクをほんの数滴にじみださせます。それですぐ吸い付いてくれれば良いのですが最初はなかなかそうもいきません。本能で吸おうとしても、穴の開き具合が良くなく乳首から出るミルクの量が適量でなければ嫌がりますし、熱かったり冷たかったりしても嫌がります。またおかあさんの乳首と哺乳瓶の乳首ではどうしても違うため、上手に飲めなかったり飲もうとしてくれなかったりします。激しく頭を振り口から乳首を離してしまいますので、根気良く何度か繰り返して下さい。そのうちにミルクも冷めてしまったりしますので冷たくなったら暖め直しが必要です。
与え始めてから3日位するとお互い慣れてきて問題も無くなってきます。乳首も上手に含むようになってくれますし、上手に吸い付いて沢山飲んでくれるようになります。慣れるまでは大変ですが、上手に飲めないため1回に飲む量が少しだけになってしまいますので、こまめに何回も与えるようにして下さい。


<授乳回数>

・1日何回与えれば良いかは、大きさにもよります。ミルクの缶や説明書に月年齢や体重に合わせた回数が書いてありますのでそれを参考にして下さい。
しかし、健康な子であればだいたい空腹になれば目を覚ましゴソゴソしだしたり鳴きだしたりしますので、空腹になったら与えるようにして、1日何回位がその子の適量なのかを判断しても良いと思います。
上手にミルクが飲めるようになるまでは、通常よりもこまめに与えて下さい。慣れてしまえばお腹一杯飲んで満腹になったらすぐ眠ってしまいますので、次に空腹になって目を覚ますまで与える必要はありません。すぐ目覚めてグズグズ言いだす場合はお腹が一杯になっていないので再度授乳して下さい。
成長に伴い1回に飲む量も増え、1日に与える回数も減ってきます。目覚めたら与えるようにすれば自然にリズムも掴めるでしょう。


<その他>

・人工乳を与え始めると最初便秘になる子が多いようです。出ないようなら優しくお腹をマッサージしてあげて下さい。大概3〜5日で出ますが1週間以上になるようであれば獣医さんに相談してみて下さい。


<離乳>

・歯が生え始めたらそろそろ離乳です。おかゆ状にしたフードを用意して下さい。
固形のカリカリタイプはお湯でふやかして柔らかくなったら潰して授乳用のミルクをかけておかゆ状にします。缶づめのフードの場合も(授乳用の)ミルクをかけておかゆ状にして下さい。
少しずつ離乳食に興味を持つようになりますので、そろそろかなと思い出したら試しに与えてみて欲しいと思います。最初はミルクの臭いがしないと食べ無いこともありますので、ミルクをかけてあげて欲しいと思います。本格的に離乳を迎えるまでは例え餌を食べたとしても充分にはまだ食べれませんので、ミルクも与えるようにして下さい。この時期になったら哺乳瓶で与えなくても自分で皿から飲めるようになりますが、状態を見て少しずつ切り替えていくようにして欲しいと思います。


<駆虫、ノミとり>

出来れば保護した時点で駆虫やノミとりを行ないたいですが、子犬、子猫への駆虫、ノミとりは危険を伴いますので注意が必要です。獣医さんに相談して下さい。


<トイレのしつけ>
助けを借りず自分で排便・排尿が出来るようになったら、トイレのしつけを始めてみましょう。
猫の場合なら、寝床の近くに小さいトイレを作ります。砂があれば本能でそこでトイレをしてくれます。
始めてそこにトイレを置いた時は、その子のおしっこの付いたティッシュなどで砂に匂いを付けておけば比較的スムーズにいくでしょう。
食事の前後、目覚めた後などにトイレに入れてあげると自分からするようになります。そこがトイレだと認識したら後は自分でもトイレに入って用をたしてくれるようになるでしょう。
トイレをスムーズに覚えさせるためには、トイレの素材に砂タイプを使うのが良いでしょう。
犬の場合はトイレの場所を決め、食事の前後、目覚めた後などにソワソワしはじめたら、トイレの場所に連れていきます。そこで上手に出来たら多いに褒めてあげて下さい。
それを何度か繰り返しているうちに覚えてくれるようになります。
しかし、犬は犬種にもよりますが、猫に比べなかなかトイレのしつけが思う様にいきません。
失敗することも多いですが、愛情を持って根気よく教えてあげて下さい。

<注意点>
子犬・子猫は体調を崩すと危険な状態に比較的すぐ陥ります。ちょっとでもおかしいなと思ったらすぐ動物病院に連れていくようにして下さい。特に下痢や風邪症状には注意して下さい。








 猫 を 捕 ま え た ら 犯 罪 ! ? 

「動物の保護及び管理に関する法律」では犬も猫も保護動物と定められています。猫は犬のように狂犬病予防法がないので放し飼いは自由です。野良猫であっても、継続的にエサをもらったり世話を受けている猫は飼い猫と見なされる事もあるので、これを勝手に捕まえて処分したりすると、飼い主の所有権を侵害する行為つまり民法上においての不法行為(民法709条)にあたる場合もあります。
(不法行為は「不注意によって他人に損害を与える行為」となり、他人に与えた損害を(経済的に)賠償する責任が生じる他、精神的な損害に対しても慰謝料として賠償を行なわなければならない場合もあります。詳しくは先に出ている「■迷い犬猫を見つけたら」の<注意点>をお読み下さい。)
ですから、本来ならば、保健所はたとえ苦情があっても、猫を捕獲することは出来ませんし、基本的に保健所や管理センターでは飼い主の持ち込み以外、猫の引き取りはしていません。
例えば、迷い猫と思われる猫を保護する場合も、飼い主が外に出しているだけかもしれませんので注意が必要となります。迷い猫だと思い誤って飼い猫を保護してしまうと、家に帰れる可能性のある(帰趨本能)ものを拘束したこととなりこれも飼い主の所有権を侵害することとなってしまいます。
また、野良猫に不妊手術を施すため捕獲する場合も、飼い主のいる猫を勝手に飼い主に許可なく捕獲したり手術したりすることは出来ませんので注意して下さい。








 ど う し て も 飼 え な い の で す か 

犬や猫を捨てる理由の第1位が引っ越しです。マンションや団地など、多くの集合住宅で犬や猫などの飼育を禁じているために連れていくことができないからだと思われます。でもそれは飼い主の努力次第で解決します。ペットが飼えるところを探す、知人に託す、里親をさがすなど、本気でその子のことを考えていればできるはずです。犬や猫を家族の一員として思っていれば、引っ越しぐらいで殺すことにはならないはずです。
ペットを飼うのに必要なのは環境やスペースではなく愛情です。その愛情がないのなら初めから飼わないで下さい。(動物を飼う時は、最初からいざという時の保護先や善処までもしっかり検討して下さい。)


犬や猫を捨てないで

飼い主に捨てられ、保健所に持ち込まれる犬猫は年間80万匹にものぼります。
引っ越しや世話が面倒など、ほとんどが飼い主の身勝手な理由です。犬や猫は飼い主を選ぶことが出来ません。信頼していた飼い主に裏切られ、暗く閉ざされた扉の向こうへ連れていかれた彼らには、殺処分を待つしかありません。
無責任に後始末を他人にまかせ、彼らの悲痛な叫び声を聞くこともなく、何事もなかったかのようにまた平穏な生活を送る飼い主たちには何の罰則もありません。
「もういらないから」と命を絶たれていった動物たちのことを考えたことがありますか。

★『里親情報』の「犬猫を飼う前に・手放す前にもう1度考えましょう」を重複しますが、ここにも掲載します。じっくり読んで考慮頂きたいと思います。



「犬猫を飼う前に・手放す前に、もう1度考えましょう」
あなたは本当に最後までその生涯に責任を持てますか?************

犬猫をずっと飼ってみたかったという方にとって、犬猫の飼育は非常に楽しみで心踊るものです。
でも、迎え入れる前にもう一度しっかり考えてみて下さい。
動物を飼うというのは生易しいことではありません。
命あるものですから、その生涯を終えるまで、何があっても飼い主が責任を持ってやらねばならないのです。飽きたから捨てるとか、手が掛かるから捨てるなどという事は決してしてはなりません。
動物を飼う時は、家族の一員として迎え、そして、その子が天寿を全うするその日まで、家族として共に生きる覚悟と責任、そして愛情を忘れないようにして下さい。

飼っていた動物を手放そうと考えている方、どうしてももう飼えないのですか?
動物は最後まで愛情と責任を持って飼うのが当然です。あなたは精一杯の努力をしましたか?
飼われている動物達とあなたの間に愛情と信頼が成り立っているのならば、動物達にとって、あなたは唯一のかけがいのない家族であり、心から愛し信頼するこの世でただ1人の存在なのです。どんなに良い里親さんが決まり幸せな余生を送る事になったとしても、動物達は決してあなたの事を忘れません。きっと生涯あなたを想い続けるでしょう。
動物を飼うのに必要なのは環境やスペースではなく愛情です。そこに愛があるならば、あなたと共に生きることが彼等には1番幸せなのです。それを忘れないで、もう一度最後まで共に生きる努力をして下さい。

よく受ける相談にこんな事があります。
・引っ越しするので飼えなくなった。
(就職・転勤・単身赴任・結婚のため飼えなくなった、新居を汚されたくない、新居がペット不可、マンションにかわるので室内で飼えない、ローンなどで経済的に動物飼育が困難、引っ越しして家族と同居するので飼えない、など)・もう自分も年だから世話が大変なので手放したい。
・子供が産まれるからもう飼えない。
(子供が喘息などのアレルギーになった、育児が大変で動物の世話が出来ない、など)・世話をする人が居なくなった。

*これらの事例は全て飼い主側が最初からイザという時の事も踏まえた上での対処をしっかり考えていれば充分防ぐ事が可能だったことです。

では、そんな時どうするか
飼育を始める前に、万が一自分達が飼育出来なくなった時の受入先(家族や親戚・縁者など)を家族で充分話し合って下さい。
(プラーナでは、里親さんを決める際、万が一の場合の受入先の確認をしています。先方にも直接確認し、場合によっては、飼育者ご本人達だけでなく受入先の方にも、譲渡時に交す契約書にサインを頂いています。)

・引っ越しの場合
本来、家族の一員という意識があるならば、引っ越しを理由に手放すという事には決してならないはずです。
また基本的には動物がいるのであれば引っ越しはよく考慮し、避けられるものならば避けたいものです。
でも何らかの事情で、どうしても引っ越さなければならない時は動物飼育可能な住宅を探して下さい。
最近は動物飼育可能住宅も増えつつあるので努力すれば見つかります。
また動物は環境が新しくなればその環境にも比較的すぐに馴染みます。今まで外で飼われていた犬でも、環境が変われば大概は室内でも問題なく飼えるようになります。外飼いの犬だから室内で飼えないというのはほとんどが飼い主の身勝手な言い訳です。決めつける前に努力して下さい。
それでもどうしても引っ越し先に連れていくのが不可能な時は、自分達で責任を持って里親探しをして下さい。
引っ越しの直前に慌てて里親探しを開始しても、おいそれと簡単にもらい手が決まる訳ではありませんので、時間的に充分余裕を持って本当に良い里親さんを見つけるようにして下さい。(いい加減な人に渡してしまうのでは真に責任を果たしたことにはなりません。)
里親が決まるまでは引っ越しも控えるべきですが、すでに日程が決定していてその期日までに里親さんが決まらない場合は、入居時に管理主側に里親探しをしている事情を説明し、理解を求めた上で新居にも連れていくべきです。そんな努力も出来ない人は動物を飼う資格はありません。
引っ越しは人間の都合です。自分達の都合で動物達を不幸にしてしまわぬよう、最後まで責任を持つ事を決して忘れないで下さい。その子の運命を背負っているのは、他でもない、その子が誰よりも愛し信ずる、あなたなのです。

・「年齢的に世話が出来ない」という方、あなたは突然年を取ったのですか?
犬や猫は長ければ20年近く生きます。自分が年齢的に20年後世話が出来るかをちゃんと考えて動物を飼いましたか?
そんな無責任な理由で動物を捨てたり保健所で殺処分させる位なら、ペットシッターに申し込んで、自分の代わりに散歩してもらうという方法もあります。

・将来子供が出来て動物を手放さなければならない状況になる可能性のある人は最初から動物を飼うべきではありません。例えばお産のため一時世話が出来なくなる可能性があるのなら、最初からそんな時どうするか、家族みんなで話し合い、協力し合える状況を作って下さい。それが不可能であれば動物飼育もあきらめて下さい。

最後まで責任を持って飼うのが当然でありそんな事態にならない様努める意志の無い人は飼う資格はありません。

こんなことも考慮してくださいーーーーー
★犬は約一才位までは大変手がかかります。
体が成長するまでの間は膀胱が小さいためトイレの回数も多いです。理解力もまだ付いていないので、粗そうすることも少なくありません。大人になれば、一般的には散歩の時以外はトイレをしなくなります。しかし一才位まではトイレの躾も大変です。
また子犬のうちは大事な靴や本などもボロボロにしてしまったりします。やんちゃな子なら壁紙を剥がしたり畳をほじくったり、植木や庭もめちゃめちゃにします。でもそれが成長の一つの過程でもあるのです。それを理解し暖かく見守りながらしっかりとした愛情のある躾を行なっていくだけの覚悟が必要です。

★生き物ですから病気もします。人間の様に保険がきかないため、いざ病気となると出費もかさみます。
また、ワクチンの接種も必要です。犬の場合は5月末から11月末まで毎月フィラリアの薬も投与しなければなりませんし、年一回の狂犬病予防注射も必要です。

★小型犬や猫以外は簡単にキャリーケースに入れて移動させることは難しいので、自宅に車の無い人は急病時に動物病院に連れていくことが出来ない場合があります。その点もよく考えて下さい。

★「子供がアレルギーになったので飼えなくなった」という相談をよく受けます。
子供がいる方、将来子供が出来る可能性のある方は、その点もよく考慮して下さい。

★お若い方は、就職、転勤、結婚、などと、環境が変わりやすいものです。
出来るならば生活基盤が出来、安定する年齢までは動物の飼育は控えるべきです。

★流行の犬種だからと、その犬種の特徴や習性も考慮せず安易に飼うと、自分達の生活環境にそぐわず、動物も人間も不幸になってしまうことがあります。見かけの可愛さや見てくれの良さに惑わされることなく、充分事前に考慮してから飼育に臨んで下さい。

★犬は個体差はありますが、多少なりとも吠えるものです。あなたの住まいは動物を飼育できる環境ですか?鳴き声がうるさいと苦情が来た時の対処の方法を考えていますか?それで、もし、その住まいを出て行かなければならなくなった時どうしますか?犬を飼う時はその犬の種の習性を充分調べて住宅の環境に適した種類を選ぶ必要があります。またもしものトラブルが起こった時には、その子を連れてその子を飼育するのに適した場所に引越すだけの覚悟も無くてはなりません。一度飼い始めたら途中で放棄することは出来ないのです。
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命はアクセサリーやバックと違います。20年近くの長い間、お金もかかれば、手間もかかります。エサ一つ取ってもいろいろ吟味し検討して健康でいられる様、常に飼い主は努めてやらねばなりません。
大変だけど、かけがいの無い家族の一員なのです。あなたの愛情に応え必ずあなたに安らぎと無償の愛、そして、素晴しい思い出、素晴しい人生を与えてくれる事を決して忘れないで下さい。***








 飼い犬・飼い猫の繁殖制限は飼い主の責任 

不妊手術を含める繁殖制限はかわいそうだということをしばしば聞きます。でもそんな人にかぎって、生まれた子犬や子猫を捨てたり、保健所に連れていきます。手術はかわいそうでも、産まれた子を処分するのはかわいそうではないというのはあまりにも身勝手です。
保健所等に持ち込まれる犬猫達の実に約8割がそういった無責任な愛情から処分された命なのです。
よく、一度は産ませたいという人がいます。飼い主としての気持ちは充分理解できますが、産ませるのは簡単でも産まれてきた命すべてに愛情と責任を持つという事は、いい加減な気持ちでは出来ません。
うまれた子すべて、自分で生涯責任を持って飼う覚悟と経済力、生活環境がある人以外は、安易に産ませるべきではありません。飼い犬・飼い猫はあなたの所有財産であると同時に責任も持たなければならないのです。
後のことまで考えず、自分で飼うことも出来ないのに安易に産ませて、その結果、捨てたり、里親を決めることができず、最終的に保健所に連れていかなければならないのなら、最初から産ませたいと思わないで下さい。自分の飼い犬飼い猫の繁殖制限は飼い主であるあなたの責任です。
*「動物の愛護及び管理に関する法律」第20条 『犬又はねこの所有者は、これらの動物がみだりに繁殖してこれに適正な飼養を受ける機会を与えることが困難となるようなおそれがあると認める場合には、その繁殖を防止するため、生殖を不能にする手術その他の措置をするように努めなければならない』
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子犬や子猫はやがて大きくなり、7ヶ月を迎える頃には1回目の発情期を迎えます。しかし、そのままにしていると子どもを産むようになります。繁殖制限には不妊手術が1番有効な手段ですが、手術はかわいそうと言って手術をしなかった結果、繁殖制限の管理が出来ず子供が生まれてしまい、手に負えなくなり捨てたり殺処分させることになってしまう例が多々あります。
猫の場合は1年に何回も発情期がありますし、犬は約2回の発情期があります。
又、犬・猫共に1回の出産で数頭生まれます。手術を行なわず自然な本能に任せていれば、生まれた子供達もやがて成長し、また繁殖を行なうようになり、その数は爆発的に増えていくのでしょう。
実際にそのため何十匹に増えてしまって飼育しきれなくなる事件が全国的に後を絶ちません。そしてこのような事件は結局不幸な結果に終わってしまう場合が多いです。
その全てを平等に、愛情を持って自分で生涯責任を持って育てる事の出来る、経済的・時間的・精神的によっぽど余裕のある人は別かもしれませんが、実際にはそんな人はほとんど存在しないはずです。
また1度位は生ませてやりたいという方も居ます。その心情は飼い主として理解出来ますが、1度の出産の後、手術をするとしても、その時生まれた子犬・子猫の全てを自分の手で生涯飼育出来ない、もしくはその覚悟を持てないのなら、安易に生ませるべきではありません。
里親に出すとしても、例えば犬の種類によっては多い時には10匹位生まれることがあります。その全ての子を本当に生涯責任を持って飼育してくれる人を探すのは決してたやすい事ではありません。
純血種の場合ペットショップに買い取ってもらうことを考えている方もいるかもしれませんが、引き取られた子全てが売れるとは限りません。売れ残った子や“商品”価値が無いと見なされた子の運命を御存じでしょうか?処分されたり、悪徳業者であれば実験動物取扱業者や繁殖業者に売られてしまうこともあります。繁殖業者に売られた子は劣悪な飼育環境の中、1年に何回も無理な繁殖をされ、日も当たらない狭い囲いの中で悲惨な生涯を送ることになるかもしれません。そのような劣悪ブリーダーの被害にあっている犬猫にまつわる事件は全国で実際多々起こっているのです。
また幸いにして誰かに買われたとしても、その飼い主が本当に責任と愛情を持って飼育して下さる方かどうかはわかりません。安易に捨てたり処分する飼い主や虐待に近い飼い方をする人間も残念ながら多いのです。お金を出せば誰でも飼い主になれる現代のペット産業が根本から変わらない限り、無責任な人間から犬猫を守ることは出来ません。
そんなこともよく考え、あなた自身の飼い犬・飼い猫だけでなく産まれる命すべての生涯に責任が持てないのなら飼い犬・飼い猫の不 妊・去勢手術を行ないましょう。特に捨てたり殺処分させることになってしまう位なら最初から安易に生ませないで下さい。
また犬・猫問わずオスはその繁殖本能や欲求もメス以上に特に強く、手術を行なわない事で問題行動が起こることが少なくありません。
メスを求めて放浪する、行方がわからなくなる、攻撃性が強くなる他、室内飼いの猫や小型犬は家具などにマーキングのためスプレーといわれる方尿をするようになります。(スプレーは中にはメスでも行ないます) 集合住宅の場合、家の中だけでなくその臭いが近所にも迷惑を及ぼし問題になる事例もよく相談として寄せられています。
また放浪の結果迷子になり、捕獲され殺処分されるオス犬もとても多く、このような事例を目にするたび本当にやりきれない思いです。
このような事例は適切な時期の去勢手術によってある程度防ぐことが出来ます。
しかし時期が遅くなるとあまり効果がない場合も時にはありますので、獣医さんと相談の上、適切な時期に手術を行なうようにして下さい。
また里親探し活動において、犬の里親希望の方でオスを希望される方がいます。
その理由をお尋ねしたら、「メスは子供を生むし面倒だから」とおっしゃります。
また、猫を外に出しているのにも関わらず、去勢手術をさせるのがかわいそうだからと野放ししている飼い主さんもいます。「オスなら子供生まないから」それが理由のようですが、その飼い猫が外で他の猫に妊娠させる可能性もあることには考えが及ばないようです。
上記の2例のように、自分の飼い犬、飼い猫さえ妊娠しなければ良いという考えはあまりにも身勝手です。妊娠しないオスであっても繁殖には同等の責任が伴う事を忘れないようにして頂きたいと思います。
次に、男性の方に多いのですが、「オスを去勢してしまうと男の価値が無くなる」と考えられている方がいます。自らの価値観でそう思われるのでしょうが、理性で性欲をコントロールすることが出来る人間と犬猫では性欲の仕組が違います。人間も動物ですから根本的には同じですが、一生の内平均して1〜3人くらいしか子供を設けない人間という種と、生まれても自然淘汰で生き延びる数が少ないため何度も発情期を迎え子孫繁栄のため子供を出来るだけ沢山設けようとする動物たちの種では、繁殖のための性欲にも大きな差があるのです。特に繁殖のシンボルである犬のオスの性欲は痛切です。
それは例えると、2人っきりの個室で裸の妙齢の美女が挑発している前で鎖に繋がれて身動き出来ないまま四六時中過ごさせられるようなものです。極端な例えなのかもしれませんが、他の動物の中でも嗅覚がすぐれている犬は、どこかに発情期のメスがいれば数キロ先までその臭いを嗅ぎ分けます。その範囲内に全く手術をしていないメスがいないという事はありませんから、常にどこかで発情期のメスがいる状態では絶えずオス犬も発情してしまいます。その状態が上記のような状態にあたいするのです。
常に切ない程の激しい性欲を抑え込まれている犬猫の苦痛は大変なものです。ストレスも我々が考える程尋常ではありません。去勢手術をしてもある程度性欲は残りますが、苦痛を伴う激しいストレスは手術によって解消されます。また本来メスを奪い合うためにDNAに組み込まれたオスゆえの繁殖のための闘争本能も軽減され問題行動も抑えられます。
このように犬猫のためにも人間のためにも、犬や猫を人間社会の中に招き入れ人間社会で共に生きていく限り、不妊手術は必要です。
また、オスの犬猫の手術は、少しだけ皮膚を切り睾丸を摘出しますが、開腹手術を伴うメスの場合に比べ、体の負担も軽く危険も少ないです。犬猫の場合、人間で言うことのパイプカットに近い感覚だと思いますので(医学的には全く違うものではありますが)、全くオスでなくなってしまうというものではありません。
ただ精子が全く出ないだけで、交尾の真似事も出来ます。「男」にこだわる男性の飼い主さんも、犬猫のためにもよく御一考頂きたいと思います。

以上、飼い主として飼い犬・飼い猫の繁殖制限の責任についてお話ししましたが、飼い犬・飼い猫の繁殖制限に飼い主として責任を持って頂きたいのは言うまでもありませんが、その反面、病気で不妊手術が行なえない場合もありますし、それが手術である以上、全くリスクが無い訳でもありません。
安易で無責任に不妊手術を行なわないのと違い、これらのように“何らかの事情により手術に不安がある”場合は、逆に安易に手術を行なう事に危険を伴う場合もあります。
このような時は、信頼出来る獣医さんと充分に話し合いをされて、飼い主の責任において手術を行なって欲しいと思います。
詳しくは、当会の「飼い主のための獣医療」のコンテンツでも今後取り上げていく予定ですので御参考になさって頂きたいと思います。
また、ここではあくまでも飼い犬・飼い猫の不妊手術を含む繁殖制限を取り上げましたが、野良猫などその他の動物達の不妊手術についても今の社会の現状では必要でしょう。しかしこれについては不妊手術推進運動の中で注意しなければならない点もあります。この件はまた別コンテンツで触れたいと思います。








 困 っ た ! ! ト ラ ブ ル 事 例 と 対 処 法 

1、しつけのトラブルーーー問題行動をプラスに変える

しつけがうまくいかず持て余して、結果、人も動物も不幸になってしまう事例や、問題行動のため飼育放棄されてしまった事例が多々あります。
このような事態を防ぐためにも、人と動物が良い関係を築けるようにしたいものです。
問題行動で悩むのはやはり犬の場合が1番多いです。
訓練士さんに訓練してもらうのも1つの方法ですが、犬をいくら訓練しても、訓練士さんの言うことはよく聞いても家人の言うことは聞かない、という例も多々あります。
本来、犬は群れ(グループ)の中で自分の順位付けをし、リーダーは絶対的な存在となります。また自分よりも順位が上のものに対しては服従します。
ですから、訓練士さんをリーダーもしくは上位と認めても、犬にとって家人が自分より上位であるという認識がなければ言うことは聞かないのです。
そのため、犬を訓練するのではなく、飼い主が犬の訓練の仕方を学ぶ、という考えが最近の家庭犬訓練の主流になりつつあり、各地で訓練士さんの指導の元、飼い主さんと愛犬がいっしょに学ぶ、しつけ教室が多々開催されています。
また、かつては力で制圧することによって主従関係を作るという方法が主として行なわれていましたが、体罰を含むそのような訓練は犬の情緒面にマイナスになることが多く、真に信頼関係の上になりたった主従関係ではありませんでした。
近年は、しかるのではなく褒めて教え、犬のやる気を引き出す訓練に主流が変わりつつあります。

また、遊びの延長でしつけを行なうという楽しい方法もあります。
よく言う「問題児」の犬は、そのエネルギーを何か他の方向に 向けさせてやると逆にマイナスがプラスに転じて、良いように伸びることがあります。しつけの方法をいろいろ試してみたけど、成果があまりない、という様な時ちょっと発想を変えて、こんな試みを遊びの中に取り入れてみるのはどうでしょう?
犬との遊びや競技を通して、人と犬の良い関係を目指している団体があります。兵庫県加古川市のKRDCです。ここのスタッフの方から以前お聞きしたアドバイスを御紹介したいと思います。
たとえば、「力が有り余って、家の中で暴れて困る」そんな犬にはアジリティ(障害物競争)をやらせてみてはどうでしょう。「言うことはあまり聞かないけど、ボールだけは大好き」なんて犬にはフリスビーやフライボールをすすめます。「引っ張って困る」犬にはギグレース、「何にもしないで、ぼーっとしてる」犬には訪問活動をさせてみてもいいでしょう。つまり、 飼い主が困ってる部分をその犬の長所に摩り替えてあげるということです。「その犬の可能性を人間が発見できずにいる場合がある」と、おっしゃっていました。実際、問題のある犬でも、遊びの中にエネルギーの発散場所を見つけることにより、普段は落ち着きが出るようになったり、逆に飼い主の側も、犬との付き合い方を学べたり、又、双方の信頼関係がより深くなったり、良い成果が見られるようです。飼い主も犬もお互いに楽しみながら学んでいける、こんな方法なら是非参考にしてみたいですよね。



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